IT ソフトウェア開発 島崎法律事務所-京都-2012.9.2-IT関連業務
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IT関連業務

■ インターネット上の諸問題
 
 【ネット情報の削除に朗報(東京地裁決定・大阪高裁判決)】も、ご覧下さい(205.2.18)。  

◇ ネット上の掲示板等への書込による名誉毀損、誹謗中傷、プライバシー侵害への対応 
    プロバイダー責任制限法に基づく発信者の特定
    2ちゃんねる等の掲示板への書き込みの削除・訂正  (詳細は ネット情報の削除と訂正
      削除依頼の受付は、被害者本人や弁護士からの依頼に限定しているサイトもあります。
    加害者に対する損害賠償請求(交渉、裁判)
    名誉毀損等に対する刑事告訴

 ◇ インターネット上での著作権侵害(改変、販売)への対応
    侵害者の財産に対する仮差押
    損害賠償請求(交渉、裁判、強制執行)
    ・プログラムの著作物、デザインの著作物等にも対応しております

 ◇ インターネットを利用した悪徳商法への対応
    架空請求、不当請求に対する支払拒絶
    ネット販売における詐欺に対する損害賠償請求

■ ソフトウェア開発契約の諸問題

 ◇ ソフトウェア開発の各段階での様々な契約書の作成、検討 
     -仕様、納期、検収、瑕疵、金額、著作権、秘密保持等の条項-

 ◇ ソフトウェア開発契約におけるトラブル
    開発代金、ソフトウェアの瑕疵を巡る紛争(ビジネスソフト、ゲームソフトを問いません)
     ・作成されたソフトウェアが仕様を充たしているのか否か、徹底して調査します。
     ・必要に応じて、プログラムの中身(個々のコーディング)にまで踏み込んで検討します。
       弁護士は、C言語、COBOL、BASIC、VBAでのプログラミング経験があります。
       経験のない言語でも、基本は同じなので、コーディングレベルでの検討が可能です。

 

ソフトウェア開発と建築、料理

 まず、建築、料理との比較で、実際のソフトウェア開発が、どのようなものかを、見てみましょう。

設計図     → 建物 
料理のレシピ → 料理 
仕様書     → プログラム  

 一つの目標に向かって、段階的に人が関わる仕事は、多かれ、少なかれ、このように、「目的物の内容を表現する書面」に基づいて、「実際に目的物を作成する」という過程を経ることになります。

 そこで、設計図がいい加減だと、ちゃんとした建物は建ちませんし、また、料理のレシピがいいかげんなら、美味しい料理は作れません。同じように、仕様書がいいかげんなら、いいプログラムは作れません。

例えば、料理のレシピで、使用する食材の種類、量については、細かく記載されていても調理の仕方、火の強さ、油の温度などが記載されていなければ、美味しい料理は、作れません。

設計図でも、間取り、柱の太さ、窓の位置、大きさなどが、細かく記載されていても、ドアの規格が記載されていなければ、現場で工務店は困ってしまいます。

 

ソフトウェア開発における仕様書の役割

■ 曖昧な仕様書

 ソフトウェアの仕様書でも、曖昧な記載があれば、実際にプログラムを作成するプログラマーはSE(システムエンジニア:建築にたとえれば、図面を書く建築士)に、いちいち確認をしなければ、プログラムを作ることはできません。自分の判断で、「こうだ」と決めつけてしまうと、後から、思わぬクレームとなって返ってきます。

 例えば、仕様書に、「坪単位で入力し、平米に変換する」という記載があっても、1坪を3.3平米とするのか、あるいは、もっと細かく、1坪を3.30578512平米とするのか、仕様書の記載だけでは明らかではありません。また、単位の換算率が決まっただけでは足りず、少数以下何桁まで表示するのか、有効数字未満は、四捨五入か、切り上げ、切り捨てか、なども明確にする必要があります。

■ 矛盾した仕様書

 さて、単に「曖昧な記載」だけなら、時間がかかる、というだけの問題なので、まだ、問題は、小さいと言えるでしょう。問題なのは、「矛盾した記載」です。プログラマーとしては、ソフト全体の整合性は、当然に、SEが考えて仕様書を作成している、という前提で仕事をします。そうでなけば、SEが仕様書を書く意義は半減します。

■ 一部未完成の仕様書

 さらに、もっと問題なのは、プログラム作成開始の段階で、仕様書ができあがっていないということが、しばしばあるのです。建築であれば、例えば、10階建てのマンションを建てるのに、とりあえず1階部分の図面だけで、建築工事に着工するようなもので、いかに無謀なことか、お分かりでしょう。

■ 仕様書の不存在

さらに、極端なケースですが、プログラムが完成するまでに、仕様書ができていない、という場合もあるのです。私自身がプログラマーをしていたのは、もう、20年も前のことですが、できあがったプログラムを見て、それに対応する詳細仕様書を作成する、という仕事をしたこともあります。

■ 仕様書のもう一つの効用

 プログラムができたのなら、仕様書なんか、今さら不要なのではないか、と思われるかもしれませんが、完成したプログラムを、後日、バージョンアップするためには、仕様書があるとないとでは、効率が、大きく違ってくるため、プログラムが完成した後でも、仕様書を作成しておく必要があるのです。

■ インターネットの時代の仕様書

 さて、こうしたソフト開発の現場は、インターネットの時代になっても大きく変わっていないようで、仕様書がないままに完成したプログラムに接する機会が、未だにあります。

 

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ソフトウェアの開発を巡る、ある裁判

■ A→B→C と、開発委託

 2005年に7年がかりの裁判を終えた事件があるのですが、これなどは、先ほどの、10階建てマンションを建てるのに1階だけの図面で着工した、というような事件です。ゲームソフトの開発にからんだもので、A社との契約でB社がゲームソフトを開発することになり、B社が仕様書を作成して、Cさんがプログラム作成を担当することになったのです。

■ 度重なる仕様変更が原因で開発が頓挫

 このソフトの開発では、仕様書が何度も何度も変更になり、たとえて言うと、10階建ての建物の1階部分を立ち上げてから、15階建てに変更になっために、基礎からやり直した、と言った経過を経て、結局、建築工事自体が中止になった、という事件です。

■ 裁判開始

相次ぐ仕様変更で、いつまで経っても、満足の行くソフトが仕上がらないため、結局、B社がA社か
ら契約を解除されてしまいました。ところが、B社は、A社に契約を解除されたのは、Cさんのプログ
ラムに原因があるのだと主張して、高額の損害賠償請求の裁判を起こしてきたのです。

■ 一部敗訴 → 全面勝訴

 地裁では、Cさんにも一部の責任はあるとして、請求額の十数%ではありますが、一部敗訴の判決が出ました。高裁では、仕様書の作成と、プログラムの作成との役割分担を、裁判官に理解してもらい、Cさんには、一部といえども責任がない、という全面勝訴の判決をもらうことができました。


■ 長期化の原因 ① -裁判官の専門知識-

 そもそも、この裁判に時間がかかったのは、裁判官自身に、こういった分野に対する苦手意識があることが、大きな原因だと思います。そのためか、地裁の裁判官は、双方の主張が大きくかけ離れているのに、いたずらに、和解で解決させようと、延々と和解期日を入れて、判決へ向けての審理がほとんどなされないまま、時間ばかりが経って行きました。

■ 長期化の原因 ② -裁判官の交替-

また、開発が頓挫したゲームが具体的にどんなものであったのかを裁判官に実感してもらうために、裁判所にゲーム機を持ち込んで、裁判官と、相手方の弁護士に、テレビ画面で見てもらったこともあるのですが、その後、裁判官が交替してしまい、せっかくの作業が無駄になる、ということもありました。

■ 裁判官の交替時期

 余談ですが、裁判官は、およそ3年で転勤するのが普通なので、3年以上、裁判を続けていると、途中で裁判官が交替するのが当たり前、とも言えます。
裁判官が一人で担当している事件の場合、確率的には、1年半の裁判で、半数の事件が、途中で裁判官が交替してしまう計算になります。
 裁判官3人で担当している場合(「合議事件」といいます)なら、半年で終わる裁判であっても、半数の事件は、3人の裁判官のうち1人が交替していると言うことになります。

■ 知財専門部の設置

 ところで、プログラム著作権などについては、高度な専門性を考慮して、東日本は東京地裁、西日本は大阪地裁の特定の部が専門的に扱うようになってきています(民事訴訟法6条)。
この規定に基づき、大阪地裁に係属していた事件があったのですが、さすがに、専門部署だけに、上述の事件の裁判官と違い、和解案を提示される場合も、内容を十分に踏まえた上で、争点についての裁判所の見解を付した上での和解案の提示でした。


■ 知財専門部限界

 ただ、この特別扱いも、プログラム著作権そのものを争う事件についての扱いであり、本件のように、開発が頓挫した原因がどちらにあるか、といった点が争点になっている事件は対象にはなりません。

 事件内容の「専門性」と言った点では、どちらも同じようなものだと思うのですが、法律が改正されない限り、この種の事件は、従来と同様の扱いとならざるをえません。

 

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